テレビデザインの基礎知識 特別編 02
文字テロップのデザイン 2
(フォント・文字詰め・レイアウト)

 <テロップの基本>

 フォント選び

フォントは主に「見出し用書体・本文用書体・装飾用書体」に分類できます。
デザイナーはその違いをキチンと理解しておくべきです。
また、テレビでは基本的に明朝体などの「横線の細い書体」はチラつくので
使用を避けたようが無難です。→ TV DESIGN 14:フリッカー(参照)
文章用につくられた「本文書体」は線が細いため、テロップ用としては不向きです。
そういった意味でもパソコンに標準搭載されている書体も使えるモノは少ないです。
(MSゴシック、MS明朝、Osaka、平成明朝…、半角カナなど!)
テロップにはバランスのとれたゴシック系書体を使用するのが自然です。
個人的には写研の「ゴナ」が、ひらがなのバランスが非常に良いため好きです。
(現在「ゴナ」はコンピュータ用フォントとしては販売されていません)

 文字詰め

文字詰めの基本は「文字間の余白部分の面積が同じになるように…」です。
空きすぎている箇所は通常手作業で調整します。(いわゆる文字間調整・切り貼り)
この文字詰めの出来映えでデザイナーの力量が判断された時代もあったくらいです。
(文字詰めを自動化するプラグインもありますが、やはり完璧とはいえません。)
「カタカナ」は文字間バランスがくずれやすいので特に注意が必要です。
また、バランス面・文字間的にも「半角カナ」は使用するべきではありません。
「半角カナ」はデータ通信用に開発されたため、画面表示用としては最悪です。
( … 濁点・半濁点が1文字として扱われてしまいます)

文字詰め前 文字詰め後

 行揃え

行揃えには「右揃え・左揃え・中央揃え・頭末揃え・チドリ・人名字取り」などがあります。
2行スーパーは基本的に「チドリ」にすることが多いですし、
地名や企業名、チーム名などを名称の複数表記は「頭末揃え」が基本です。
また人名を複数表示場合は特別に「人名字取り」という手法が使われます。
印刷業界のテクニックを応用した歴史ある字取り手法です。(次ページで詳細解説)

 級下げ

単位・肩書き・敬称などの文字は基本的に「級下げ」します。
<例外>苗字だけの場合は級下げしません。

 長体・平体

長体や平体は文字を変形することになるので、
かけすぎると元の書体が持つバランスが崩れてしまいます。
特に数字書体にむやみに長体や平体をかけると
認識性が失われ、デザイン的にも美しくなくなるので好ましくありません
あらかじめフォントにコンデンスド書体やワイド書体が用意されている場合は
そちらを使用するようにします。

 縦書き・横書き

テレビ画面の比率が 4:3という「横長」なので、テロップは横書きが基本です。
しかし、画面の左右の端に表示する場合に縦書きを使用することがあります。
ただし縦書きする際には、数字や記号の扱いに特に注意が必要です。

 画面レイアウト

安全フレーム(テレフレ)に注意しながらグリッドレイアウトを行うのが基本です。
→ TV DESIGN 01:セーフティエリア(参照)
ザブトンなどに曲線が多用されている場合でも、
文字のボックス位置は画面に対してグリッドレイアウトします。
このグリッドレイアウトを含め、トリキリ画面の文字調整などを正確かつ
美しく仕上げるためには「Illustrator」で文字のレイアウトし、
味付けを「Photoshop」でおこなうのが理想的なワークフローだと思います。

 文字校正(もじこう)

テロップ文章を打ったら必ず文字校正をおこなってください
誤字・脱字ほどみっともないものはありません。(私もたまにやりますケド…)
文字校正の基本は2つです
・他人に確認してもらうこと(自分では文字校正はできません!)
・読みながら確認すること(読みにくい文章は、観ている人にも読みにくいです!)
「英語表記」「固有名称」には特に注意が必要です。