テレビデザインの基礎知識 特別編 01
文字テロップのデザイン 1
(テロップとは…・情報デザインについて)

映像に文字を入れることを「テロップ」または「スーパー」と言います。
どちらも簡単に言うとキーイングの一種ですが、
テレビ業界人の中には、文字を入れる場合を「テロップ」と呼び、
写真や絵などを入れる場合には「スーパー」と呼んで区別する人もいます。
テロップは数年前まではテロップカードと呼ばれる紙焼きを撮影して
文字を画面に入れていましたが、現在は当然コンピュータ化されています。

※ テロップ TELOP = TELevision Opaque Projector
※ スーパー SUPER = Super Impose



日本人はとてもテロップ好きのようです。というか、日本のテレビ業界人がテロップ好きなのかもしれません。海外では日本ほどテロップが多用されることはありませんし、本来は映像だけで情報・感情・状況を視聴者にイメージさせられなければならないモノです。
 しかしながら現状は情報過多の画面が多く、かえって視聴者に混乱を与えてしまっているケースも少なくありません。文字テロップは「補足説明」として使用するのが自然なカタチだと思います。
 とはいえ、最近のバラエティ番組でテロップを多用するのは「意図的」かつ「ねらい」なので非常に良いと思います。(タイミングが合うと、とてもオモシロイですし…)



 <情報デザインの基本>

テロップ等をデザインする際には 受け手(視聴者)の状況を配慮すべきです。
特にテレビの場合、画面の解像度が低いので新聞や雑誌などの印刷媒体と違い、
詳しいデータを表示するのに向きません。
テレビ放送の得意なところは「速報性・臨場感」です。
10秒で簡潔に見せられるような わかりやすいデザインが必要です。
また、一方通行のメディアだという面も考慮しなければなりません。

1. すべての情報を表示する必要はない
膨大な量の情報がある場合、その中から相手が欲しがっている情報だけを
いかに「わかりやすく・簡潔に・美しく」表示するかがデザイナーの役割です。
またグラフや地図の表現のように「見えない情報」を図形化して表現することで
相手にわかりやすく情報伝達することもデザイナーの役割です。


2. 情報内容は正確すぎるのも混乱をまねく
混乱を生むようであれば、表示する情報は必ずしも「正確」である必要はなく
あえておおまかに表現することもあります。


3. 人間の習性・文化を理解する(アフォーダンス・認知科学)
情報デザインは、学術的には「アフォーダンス」という言葉にたどりつきます。
一言で説明するのは難しいですが「デザイン」が人の行動や思考に影響を及ぼす…
といった概念です。(…とても意味深いです)
※ 興味のある人は検索エンジンで「アフォーダンス」と検索してみてください
デザインする際には 受け手の文化や慣習を配慮しなければいけません。
例えば一般的に「テレビ画面は左上が一番先に目がいく」と言われていますが
これは、文章を「横書きする文化」が根底にあるからだと言われています。