テレビデザインの基礎知識 17
波形モニタ・ベクトルスコープ
(ハケモニ・ベクモニ)

 映像信号はテープに収録したり、さまざまな機器の回路を通すことで変化してしまう恐れがあります。映像信号が変化してしまうと、制作した際に自分が意図した「明るさや色」が 見る側のモニタで再現されない可能性が出てきてしまいます。それでは困るので、映像制作の現場ではカラーバーを基準信号として映像の品質管理をおこなっています。「波形モニタ」や「ベクトルスコープ」は、そのカラーバーの状態を測定したり、制作した映像が基準に合っているかを測定するための装置です。
 波形モニタ(Waveform Monitor)は簡単にいうと「画面の明るさ」の成分を表示するモノです。「ハケモニ」と呼ぶ人が多いです。
 ベクトルスコープ(Vector Scope)は簡単にいうと「色相や色の濃さ」の成分を表示するモノです。「ベクモニ」と呼ぶ人もたまにいます。
 業務用の波形モニタ・ベクトルスコープは非常に高価ですが、アナログ映像を扱う環境では品質管理をするためには不可欠なモノです。(1つの機器で兼用できるタイプもあります)
アナログ編集室ではテープを掛けかえるごとに、頭部分に収録されたカラーバーを測定するのに毎回使用しています。

※カラーバーを使用したNTSCモニタの調整方法は
 「TV-Design 基本編 12」で解説しています。
 →ページを見る

アナログコンポジット型
LEADER 5872A
¥630,000
(兼用タイプ)

HD/SD マルチフォーマット型
Tektronix WFM700

 波形モニタの基本

右の図ではSMPTEカラーバーのEIAカラーバー部分を波形モニタで表示させた場合を図解しています。カラーバーのそれぞれの色と波形の相関関係が把握できると思います。
 波形モニタでは通常、輝度信号(図の白ライン)と色信号(図の緑の帯)が合成表示されます。
 色信号が強いほど帯の長さが長くなり、色信号がない無彩色の部分は帯が短くなっています。
 左側にはシンク信号(水平同期信号)やバースト信号(色同期信号)が必ず存在します。

 ベクトルスコープの基本

ベクトルスコープは色差信号(R-Y・B-Y)の2つの信号をそれぞれ「X軸・Y軸」に配置した形になります。色信号が強いほどスコープの外側に、中央に近づくほど無彩色に近いということになります。また各頂点の位置を見ることで色相(HUE)の変化も確認できます。拡大表示(MAG)することで、撮影現場などではホワイトバランスの確認にも使用されています。

波形モニタやベクトルスコープは映像信号を測定する装置なので AfterEffectsで代用するというたぐいのモノではありません。しかしながら、AfterEffectsで制作している映像を確認するための「波形モニタ・ベクトルスコープ」プラグインはいくつか存在します。

<EchoFire>

Firewire(IEEE1394)を通してAfterEffectsのコンポを
DV出力するプラグインです。
NTSCモニタに各種波形モニタをオーバレイ表示可能です。
http://www.synthetic-ap.com/products/echofire/index.html
http://www.flashbackj.com/

●EchoFire
<ColorFinesse>

EchoFireと同じ会社が開発した
強力なカラーコレクションプラグインです。
こちらは作業PCモニタ上に各種波形モニタを表示可能です。
http://www.synthetic-ap.com/products/cf/index.html
http://www.flashbackj.com/

●ColorFinesse
<ScopoGIGIO>

このプラグインは日本ではあまり知られていませんが、
エフェクトコントロールウインドウ内に
各種波形モニタを表示可能です。
http://www.metadma.com/noflash/DmaHome.html

●Scopo GIGIO

カラーバー&テストパターンの入手先(Mac版のみ)
<Test Pattern Maker 1.0>フリーウエア
http://www.synthetic-ap.com/products/tpm/index.html

波形モニタソフトウエア(Mac版のみ)
<VideoScope 1.3>
http://www.evological.com/

日本テクトロニクス 株式会社:http://www.tektronix.co.jp/
リーダー電子 株式会社:http://www.leader.co.jp/