テレビデザインの基礎知識 15
フィル・キー納品
(ストレートマットなし・ビデオアルファ補正)

映像素材の合成を行う際には、当然アルファチャンネルが必要です。
主にビデオ画像(V)とキー画像(Key)を用意して合成が行われます。
素材が人物や文字テロップなどの場合はあまり考えなくても良いのですが、
CG等で作成された半透明なモノや光の効果が加わったモノの納品に関しては
特に注意が必要です。
ビデオ画像(V)の背景が黒で作成されていると 半透明の部分の色は、
その背景の黒と混ざった色になっています。もしも
そういった画像をキー画像で抜いても「黒ずんだ」半透明になってしまって
せっかくのグローやレンズフレアが美しく表現できません。
つまり、綺麗に合成するためにはビデオ画像(V)の補正が不可欠です。

 <悪い例> 通常の「ビデオ・キー納品」

→ 補正されていない映像をキー合成するので、半透明のエッジ部分が黒ずんでしまう。

画像をクリックするとムービーが見られます

 <正しい例> 補正処理した「フィル・キー納品」

→ キー合成しても半透明部分でも黒ずむことはない
※ ちなみに補正された画像を「フィル」と呼びます。

画像をクリックするとムービーが見られます

今回のように画像を補正するかわりに「背景を明るい単色の塗りつぶしにする」という
手法で作業している方を稀に見かけますが、実際その方法も比較的有効です。
しかしながらグローの色調が複数ある場合などは、
単色で塗りつぶしてしまうと本来の色が再現できない部分もでてくるので
あまりオススメできません。
また「炎」などの逆に黒ずんでいたほうが自然な映像のなどは、
あえてフィルキー納品しないコトがあります。
各自、画像に応じて使い分けてください。

 アルファチャンネルの作成
まずアルファがきちんと存在しているか確認してください。
通常、平面にレンズフレアを加えただけでは
アルファチャンネルが生成されないので
「Knoll Unmult」というプラグインを使用して
アルファチャンネルを作成します。

※「Knoll Unmult」は下記ページでダウンロード可能です。
http://www.redgiantsoftware.com/downloads.html
※「Xmult」という同様の機能を持つプラグインもあります。
http://www.fandev.com/xmult.html

「Knoll Unmult」
(アルファを作成できる)

 フィル画像の作成方法(ビデオ画像の補正方法)
フィル画像を作成するためにはアルファチャンネルがある素材を
「ストレートマットなし」でレンダリングします。
(私は通常、QuickTimeのアニメーション最適でレンダリングします)
また、レンダリング前にフィル画像を確認したい場合は
コンポジションウインドウの「アルファチャンネル表示ボタン」を
シフト+クリックしてみてください。

● レンダ設定>ストレート(マットなし)

● コンポジションウインドウでの確認

 フィル・キー納品の手順
レンダリングが終了したら
そのムービーを「アルファ(ストレート)」で読み込んでコンポにいれます。
フィル画像やアルファ画像をコンポジションに表示させるために
「エフェクト>チャンネル>チャンネルシフト」を使用します。
(パラメータ設定は図を参照)
あとはこれらの画像を各自テープなどに収録してください。

● フッテージ設定>ストレート・マットなし

● チャンネルシフト

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