テレビデザインの基礎知識 13
キーイングの種類
(ルミナンスキー・クロマキー・セルフキー)

キーイングは映像制作を行う場合、ほぼ必ずおこなっている作業です。
キーイングというと人物合成クロマキーのイメージが強いですが
テロップで文字をのせるという作業も技術的にはキーイングですし、
オーバーラップやワイプもキーイングの応用ということもできます。
キーイングとは簡単にいうと「くり抜いて上のせる作業」だと思ってください。
くり抜くためには、いわゆるアルファチャンネルが必要になります。
CGアプリ等で生成された画像にアルファチャンネルをつけることは簡単ですが、
実写映像に対してアルファチャンネルをつけることは難しく、とても苦労します。
ここではキーイングの種類を分類していくつか紹介します。
内容や素材に応じてもっとも適切な手法を使用してください。

※アルファチャンネルのことを「キー」「マスク」「マット」「ステンシル」とも言います。

<映像からキーを作成する方法>
画像のある成分を使用してアルファチャンネルを作り出したり(セルフキー)
元画像の差分を利用してキーイングします(ディファレンス)
成分で抜くのがどうしても難しい場合は手作業でマスクを作成することになります。

 <ルミナンスキー> (LumaKey・LevelKey)

映像素材の「明るさ(黒)」の成分からアルファを生成して合成する方法です。
もっとも古い原始的な方法です。
従来の文字テロップやグラフ等はこの方式でのせられていました。
実写素材をこの方法でキーイングするのは難しいですが、
ルミナンスキー用に制作された素材(文字・CG等)であれば
比較的、確実にキーイング可能です。

ルミナンスキー

 <クロマキー> (CromaKey・Color Key)

映像素材の「色相・彩度」の成分からアルファを生成して合成する方法です。
いわゆるブルークロマキーと呼ばれる手法などがコレです。
人物をキーイングする場合に必ずといっていいほど使用します。
テクニックを駆使すると髪などの階調もきれいに合成できます。
もっとも奥が深いキーイング手法ではないでしょうか。

クロマキー

 <ディファレンスキー> (DiffarenceKey)

2つ映像素材の「絵の違い」からアルファを生成して合成する方法です。
同ポジの背景のみの画像があれば、
その前を横切る人物をキーイングできるという仕組みです。
カメラを動かさないように撮影する必要があります。
ほとんどの合成システム等で使用可能。
※AfterEffectsでは「異なるマット」と呼んでいます。

ディファレンスキー

 <インナーアウターキー> (InnerOuterKey)

2くり抜きたい境界部分にパスを描画し、
「内側と外側の映像成分の違い」を使用して合成する方法。
自分でパスを描くという手間がかかりますが、
パラメータの調整次第では非常に綺麗に抜くことができます。

インナーアウターキー


AfterEffectsに付属のキーイングプラグイン
<ルミナンスキー用> ルミナンス
抽出(Proversion)
<クロマキー用> カラーキー
カラー差キー(Proversion)
リニアカラーキー(Proversion)
色範囲(Proversion)
<ディファレンスキー用> 異なるマット(Proversion)
<インナーアウターキー用> インナー/アウターキー(Proversion)
※クロマキ−素材には「カラー差キー」が最適です。

サードパーティのキーイング用プラグイン
<Ultimatte AE> 17万8000円
http://www.Ultimatte.com/
<Primatte Keyer>  9万4800円
http://www.photron.com/
<Boris AE>  6万8000円
http://www.borisfx.com/

カラー差キー(Proversion)

IMAGICA「映像用語辞典 五反田コレクション」
Panasonic「放送システム用語集」