テレビデザインの基礎知識 02
インターレース
(フィールド処理・フィールドレンダ)

NTSCテレビ方式の「インターレース(フィールド処理)」という技術は
デザイナーの立場から見ると、誰もが初めは邪魔な印象を受けます。
しかし、その特性とメリットを理解すると、
とても有意義で頭のいい技術ではないかと思うハズです。
ちなみに現在の日本の地上波テレビ放送は
すべて「インターレース方式」によって放送されています。
※インターレース=飛び越し走査
※プログレッシブ方式=上から順次走査する方式(パソコンモニタ等)
※フレーム素材=フィールド処理されていない画像や映像のこと
<メリット その1…滑らかな動画再生の実現>
NTSCテレビ放送では1秒間に30枚の絵があります。
一般的にはこれで十分自然な動きを再現できるように思えるのですが、
十分に自然な動きを再現するには「1秒間に60枚くらい」は必要です。
かといって単純に倍のフレームレート(1秒間に60枚)にしてしまうと、
それだけ転送する情報量まで倍になってしまって現実的ではありません。
そこで、採用した技術が「インターレース」という方式だったのです
この技術を使用することで(1フレーム2フィールドにすることで)
30枚の絵の中に60枚分の動きの情報を埋め込むことが可能です。

(クリックで拡大できます)

<メリット その2…テレビ受像機側の問題解決>
初期のテレビ受像機では螢燐光体がすぐに消えてしまい、
画面に走線を上から下へと順番に表示する際、走線が下に達する前に
上方の走線が消えてしまうという問題がありました。
しかし、このインターレース方式によって問題は解決されています。
(現在のテレビ受像機は性能が良いので問題はなくなりましたが…)

一般的に実写映像を加工する場合は(Betacam素材やDV素材)
このインターレースを考慮して作業をする必要があります。
素材となるフッテージに対して「フィールド分割」をおこない
レンダリングする際には「フィールドレンダ」をする必要があります。
これを行わないと、レンダリング結果が滑らかな再生が行われないだけでなく、
映像がみだれたりカクついたりする恐れがあります。

● ファイル>フッテージ変換>メイン

● レンダリング時の設定
<例外>カット編集のみ・カラコレ等しか作業しない場合
    (フィールドが崩れるような作業をしない場合)

フィールドの呼び名は各分野で異なり、
「Odd・Even」(おもに3次元CG系)
「上位フィールド・下位フィールド」(Premiere 4.2Jなど)
「第1フィールド・第2フィールド」(AfterEffectss 3.1Jなど)
「奇数フィールド・偶数フィールド」(AfterEffectss 4.1J〜など)
というようにアプリケーションごとにさまざま呼び方が存在します。

使用しているハードウエアごとに「フィールドの優先順位」が異なるので
自分の使用機材がどちらで設計されているのか把握しておく必要があります。
※AfterEffectsでフィールド順を割り出す方法(Ver5.0 マニュアル P.387)
※一般的に720の素材は「偶数フィールド優先」と規定されていますが、
  640のデジタイズ素材に関してはハードウエアごとに異なるようです。
  (ちなみにMedia100は奇数優先です)

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