テレビデザインの基礎知識 HDTV 04
ダウンコンバート
(ダウンコン・レターボックス・サイドカット)

ダウンコンバートはアップコンバートの反対で、HDの映像をSDの映像に変換することを言います。
その際 解像度が下がることになるので「ダウンコンバート」と呼びます。
地上デジタルと地上アナログでサイマル放送をする際には必ず行うことになります。
通常ダウンコンはアップコンと同様に専用の機器を使用しますが、
HDテープからのダウンコンはVTRに内蔵されているコンバータを使用しても可能です。
また、アップコンと同様に画角の変更方法はいくつもの方式があるので、
それぞれの特徴や利点を理解し、打ち合わせ・制作段階から考慮することが大切です。

※ダウンコンバートのことを「D/C」と記述する場合があります。

 サイドカット(パンスキャン・エッジクロップ)

「サイドカット」は縦幅を基準に両側にはみだした部分を切り取って画角を変換します。
サイマル放送で現在最もよく使われている方法で、4:3の視聴者にも違和感を感じさせません。
サイド部分が欠落するのでカメラ画角やテロップ位置などに注意する必要があります。
HDとSDの両方で成立するように制作すると、本来のHDの画角を活かせないという欠点があります。

※サイドカットのことを「SC」と記述する場合があります。

 レターボックス(上下黒味)

「レターボックス」は 横幅を基準に上下に黒味を追加して画角を変換します。
この方法を使うと、HD画面の欠落がないため「映画」などの変換でよく使用されます。
また、HD素材を「チェック用VHS」に落とす場合などにも使用されます。
16:9の画角を忠実に再現できる反面で、画面が小さく見えるという欠点もあります。

※レターボックスのことを「LB」と記述する場合があります。

 14:9(13:9)中間サイズ

「中間サイズ」は サイドカットとレターボックスの両方を行って変換します。
HDの素材をできるだけ詰め込みたい…という制作者の気持ちが伝わってきます。
4:3のテレフレの外側に黒味が追加されることになるので、
レターボックスのように視聴者に違和感を感じさせることもありません。
HD制作の「ドラマ」などでよく使われている変換方法です。

※14:9中間サイズのことを「14:9 LB」と記述する場合があります。

 スクイーズ(フルサイズ・左右圧縮・上下引き伸ばし)

「スクイーズ」は横幅をつぶして、無理矢理4:3に変換する方法です。
画面比率が変わり要素が変形してしまうため、視聴には適しません。
HD素材をできるだけ高品質に SDフォーマットへ変換したい場合に
「あとで必ずアナモフィック変換される」という前提で使用します。
また、16:9素材をDVDに焼く場合などにも使用されています。

※スクイーズ(squeeze)とは「搾る」という意味です。
※スクイーズのことを「SQ」と記述する場合があります。