テレビデザインの基礎知識 06
ビデオ信号の種類
(コンポーネント・コンポジット・Sビデオ)

ビデオ信号の種類と聞いてもピンとこない人もいるかもしれませんが、
簡単にいうと映像をどういった方法で伝送・記録しているかということです。
現在のテレビ規格ではさまざまな信号方式が存在してます。
デジタルもアナログもあり、コンポーネントもコンポジットもあります。
デザイナーとして自分の作品の映像クオリティを維持するために、
これらの特徴を理解することは大切なことだと思います。

 <ビデオ信号の流れ>

(クリックで拡大できます)
ブラウン管を通して自然な実写画像を表現するには
RGBといった光の三原色が必要になります。
(ビデオカメラの信号やCGで制作された画像もRGBです)
しかしながら、このRGB信号は非常に大きな情報量のために
放送電波として飛ばすのには不向きです。
そのため、上記の表のように効率よく電波にのせるための
アナログ変換処理技術が開発されました。
(RGBをYUVに変換し、コンポジット信号として電波にのせる技術)
モノクロ放送とカラー放送を同時に行うという課題もクリアしてきた
という点においてもこのアナログ変換方式は非常に評価されています。
当然ですが、各色成分を独立して持っているコンポーネント(分離方式)の方が
コンポジット(混合方式)よりも画質は良いです。

<デジタルVSアナログ>
1987年にSONY開発の「D1」というデジタル規格の登場をきっかけに、
各種デジタルフォーマットが次々に誕生しました。
(D1・D2・D3・Digital Betacam・DV・DVCPRO…)
とはいえアナログ技術の長所も多いので、現在の映像制作の現場では
アナログとデジタルが混在している状況になっています。

デジタル方式の一番のメリットは「ダビング特性」といわれています。
簡単にいうと「ダビングしても画質の劣化がない」ということです。
アナログではダビングするごとに確実に画質は劣化していきますが、
デジタルの場合はダビングというより、
データ転送に近いので元画像と同じ画質を再現できるというわけです。

また、デジタル信号では画像圧縮が効率的に行えるようになり、
デジベやDVのように見た目にわからないようにデータを圧縮する場合も多く
データ量を減らすのには、非常に有効な手段と言えます。
ただし、圧縮にもいろいろあるので
「必ずしもデジタルだから画質が良い」とは言いきれません。
(第一世代目のアナログコンポーネントの方がDVよりも画質が良いですし)
これらを自分の作業用途に合わせて使い分けることが大切です。
また、異なるデジタル圧縮を繰り返すと画質は驚くほど劣化するので
ダビングやデジタイズする際には注意が必要です。

 <デジタルVTRフォーマットの分類>

(クリックで拡大できます)

IMAGICA「映像用語辞典 五反田コレクション」
Panasonic「放送システム用語集」