AfterEffects Laboratory 基本編 01
スタンダード版とプロ版の違い
(Ver5.5での機能や付属プラグインの違い)

AfterEffects を購入しようとする人から
「スタンダード版とプロ版はどう違うの?」という質問をよく受けます。
実際、アドビストア価格でみても10万円も違いますし、
プロ版の価格でスタンダード版は2本購入できてしまいます。
「プロバージョンの機能に本当にそれだけの価値があるのか?」と
疑問の声も多いですが、こればかりは人によって使用用途が違ってくるので
一概に「高い」とは言えません。
そんなわけで今回は、プロ版にしかない機能を紹介しようと思います。
検討の参考になれば幸いです。
※さらに詳しい情報はアドビのサイトにあるPDFファイルを参照してください。
http://www.adobe.co.jp/products/aftereffects/main.html
 プロ版はスタンダード版の機能をすべて搭載
これはあたりまえで結構重要なことなのですが、
スタンダード版とプロ版は見た目にはほとんど変わりありません。
以前プロ版にはドングル必要でしたが、Ver5.0から廃止になり
現在はスタンダード版と同じく、シリアルナンバー形式になっています。
またインストール方法や操作方法、作品の画質等にも違いがありません。
実際には10万円の価格差がありながらも、インストールされる際に
プラグインのファイルが数十種類、余分に入るだけです。
(スタンダード版の機能にプラスするかたちで入ります)
言い換えると、この余分に入るエフェクトや機能にどれだけ価値を見出せるか…
というところではないでしょうか?。

 プロバージョン付属エフェクトのリスト
この下に、プロバージョンに付属するプラグインを紹介します。
(ちなみに、★印で私なりの評価をしてあります)
※ エフェクトのアイコンをクリックするとパラメータが確認できます。
※ Macintosh版 AfterEffects 5.5Jを基本に記載しています。
 エフェクト>3Dチャンネル
3Dチャンネル抽出
IDマット
デプスマット
フォグ3D
被写界深度
3Dチャンネルエフェクトとは、3Dアプリケーションでレンダリングされた「奥行き情報(Z深度)」をもとに合成作業をする際に使用します。Z深度情報をもつファイルが存在しないと使用できません。奥行き方向に対してぼかしを適用したり、クロップしたり、フォグ(霧)を発生させたりすることができます。

 エフェクト>オーディオ
トーン
バイパス/ローパス
パラメトリックEQ
フランジ&コーラス
モジュレータ
リバーブ
オーディオエフェクトは以前にくらべて充実してきましたが、各エフェクトを適用した際にはレンダリングが必要ですし、一般的にプロが使用するDAW(Digital Audio Workstation)と比較すると機能的に貧弱な点が残念です。しかしながら簡単な音編集作業であればこれらのプラグインで十分対応できると思います。将来的にはAfterEffectsのみでMA作業ができるようになるといいのですが…。

 エフェクト>キーイング
インナー/アウターキー ★★★
カラー差キー ★★★★★
スピルサプレッション ★★★
リニアカラーキー ★★
異なるマット ★★★★
色範囲 ★★
抽出
キーイングプラグインとは、ブルーバックなどで撮影された素材をクロマキー合成する際に使用します。キーイングにはざまな手法が存在するため、それぞれに対応したキーイングプラグインが存在します。サードパーティ製のプラグイン(Ultimatte・Primatte)も含めると十数種類はあるのではないでしょうか?キーイングの基本については下記ページを参照してください。
<ayato@web TV-DESIGN 基本編 13 キーイングの種類>

 エフェクト>シュミレーション
パーティクルプレイグラウンド ★★
パーティクル(粒子効果)のプラグインはエフェクトの分野では非常に需要が高くいろいろな製品が出回っていますが、その中でもこのパーティクルプレイグラウンドはAdobe純正のパーティクルプラグインです。パラメータ数が膨大で処理も重いため、初心者の方には使いこなすのが難しいかもしれません。
Adobe純正のパーティクルのプラグインではこの他に「泡」があります。(アドビホームページでダウンロード可能)

 エフェクト>スタイライズ
グロー ★★★★★
拡散
プロバージョンのプラグインの中で、私の中で使用する頻度が一番高いのはこの「グロー」かもしれません。スタンダード版の機能だけでも似たようなグロー表現は可能かもしれませんが、なかなか捨てがたいプラグインだと思います。サードパーティ製でもなかなかいいグローのプラグインがないのも実情ですし…。

 エフェクト>チャンネル
アルファレベル
アルファレベルはアルファチャンネルのレベル補正をするプラグインです。レベル調整プラグインでアルファのみを補正した際とかなり近い効果ですが若干効果が異なるようです。

 エフェクト>ディストーション
コーナーピン ★★
ディスプレイスメントマップ ★★★★
バルジ ★★
ベジェワープ ★★★★
メッシュワープ
リシェープ
レンズ補正 ★★★
ディストーションエフェクトを使用すると、いろいろな手法で画像を変形させることが可能になります。当然ですが変形の過程にキーフレームをいれることもできるので、変形アニメーションも簡単に作成可能です。
プロバージョンでは、さまざまな種類の変形プラグインが追加されます。

 エフェクト>ペイント
ベクトルペイント ★★
このプラグインを使用すると、レイヤーに対してベクターベースでペイントすることが可能になります。ブラシアニメーションも可能ですし、ブラシをアルファとして適用することもできるので、さまざまな応用ができるかと思います。ただ、初心者の方にはトッツキにくいプラグインかもしれません。

 エフェクト>マットツール
チョーク ★★
マットチョーク ★★
マットツールとは、キーイングプラグインとセットで使用すると効果があります。キーイングした素材のアルファチャンネルの修正が可能になります。Photoshopでいうと「選択範囲の拡大縮小」のような処理も可能です。

 エフェクト>レンダリング
フラクタルノイズ ★★★★★
稲妻(高度) ★★★
フラクタルノイズはいわゆる「雲模様」を生成するプラグインですが、アニメーションさせることにより、雲・スジ・水面などいろいろな応用表現が可能になります。他のプラグインでは際限しにくいので必須のプラグインと言えるかもしれません。
稲妻(高度)は以前サードパーティ製のプラグインだったモノです。アルファチャンネルに反応させられるので、物体に絡み付くような「放電効果」も表現できます。

 エフェクト>時間
時間置き換え
時間置き換えプラグインは時間軸方向に対するディスプレイスメントマップです。通常使用することはほとんどないですが、このプラグインを使用すると従来のスリットスキャン技術をシュミレーションすることが可能です。

 エフェクト>調整
カラースタビライザ ★★
カラースタビライザを使用すると、撮影された映像素材の明るさや色のばらつきを抑えることが可能になります。実写合成作業では非常に有効なプラグインかと思います。

 アニメーション>キーフレーム補助
RPF読み込み
スマートマスク補間 ★★★★
モーション計算
指数スケール ★★
キーフレーム補助は画像に対する効果プラグインではなく、キーフレームを生成する際に機能するモノです。動きを表現するのに役立つ機能が揃っています。特にスマートマスク補間を使用することで従来のマスク作業では困難だったマスクパスの作業がかなり効率化されます。
指数スケールをスケールのキーフレームに対して適用すると奥行き方向の移動をシュミレーションできます。

 ウインドウメニュー
ウィグラー ★★
ウィグラーを使用するとキーフレームにさまざまなノイズを加えることができます。位置のキーフレームにウィグラーをかければ、ゆらゆら揺れる効果を簡単に作成できますし、不透明度にウィグラーを適用すれば透明度が時間軸で変化します。
スタンダード版でもエクスプレッションを使用すれば、ウィグラーの機能は表現可能です。

 その他
ネットワークレンダリング ★★★
MAYAカメラデータの読み込み
3D Invigorator Classic ★★★★
その他のプロバージョンの機能>
ネットワークレンダリング…複数台でのレンダリングが可能になり、作業の効率化が図れます。
MAYAカメラデータの読み込み…3DソフトMAYAのファイルからカメラデータを読み込めるため、MAYAでレンダリングした素材に対して合成作業をする際に有効です。
3D Invigorator…Illustratorで作成したパスを立体化してアニメーションさせることが可能になります。
<注意>3D Invigorator Classicが付属するのは新規購入者のみでアップグレード版には同梱されません。